96時間
誘拐された娘追跡する父親
「シンドラーのリスト」の名優リーアム・ニーソン主演のアクション・スリラー。初めての外国旅行に出掛けた愛娘が旅先のパリで誘拐された。米国政府の元工作員である父親のブライアン(リーアム・ニーソン)は娘を奪い返すべく、培った危機対応能力で行動を起こす。果たして追跡可能なタイムリミット「96時間」以内に取り戻せるのか。
ニーソンが娘の救出に立ちはだかる者を容赦なくなぎ倒していく非情さは昨年の「ランボー 最後の戦場」に迫るもので驚くが、93分というタイトな上映時間に1カットの無駄もない。ピエール・モレル監督の演出に脱帽だ。ニーソンのしゃべる一言一言は決めゼリフのようで、リュック・ベッソンが加わった脚本も見事。目的に非情なだけではなく、妻と離婚し、妻に親権のある娘と日ごろ容易に会えない主人公に男の悲哀を出したニーソンの演技も秀逸だ。第一級の娯楽映画である。(2009年9月17日・小野)