未来を写した子どもたち
写真が伝える無限の可能性
インド、コルカタの売春窟に暮らす子どもたちと女性カメラマンが写真教室を通じて新しい可能性を見いだすドキュメンタリー。アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
アジアのスラム街を「粘ついた耳あかと納豆をいっしょくたにして蒸しあげたようなにおい」と表現した作家がいたが、そんな環境の中で英国人のザナさんが子どもたちに写真の撮り方を教える。生徒は皆、売春婦の息子や娘たち。彼らの撮った写真は、どんな境遇でも子どもたちの可能性は無限で希望に満ちあふれていると教えてくれる。彼らの場合はそれを未来につなげることを現実が許さないのだが。
子どもたちはとてもいい笑顔をしている。彼らを「かわいそう」と思ってほしくない。今を受け入れ、自分なりに先を見つめている「自我を持つ子どもたち」なのだ。この作品がアジアの貧困について考えるきっかけになれば幸いだ。(2009年1月22日・手塚)