僕の初恋をキミに捧ぐ
主演の2人が魅力的な佳作
青木琴美の人気コミックを実写映画化。心臓病の少年垣野内逞は8歳のころ、医者の娘、種田繭と出会い、恋が芽生える。大人になったら結婚しようと誓い合う2人だが、逞は偶然、自分が重病で20歳までしか生きられないことを知ってしまう。成長し、中学生になっても逞(岡田将生)と繭(井上真央)は変わらずいちずに愛し合っているが、余命を自覚する逞は高校入学前後から、繭を遠ざけ始める。
またも漫画の映画化で「難病もの」かと思わされるが、学力が逞には及ばない繭が猛勉強し、同じ高校の名門校に入学する中盤が素晴らしい。逞が恋敵の鈴谷昴(細田よしひこ)と、繭を懸けて100㍍競走をするシーンには泣かされる。
後半が漫画らしい粗っぽい展開になるのが玉にきずだが、主演の2人がさわやか。監督は「ただ、君を愛してる」の新城毅彦。新時代の恋愛映画の名手と言いたい俊英による佳作である。(2009年11月26日・小野)