ハート・ロッカー
アカデミー賞6部門受賞作
イラク駐留の米軍爆発物処理班の兵士を描く。キャスリン・ビグロー監督が女性初のアカデミー賞監督賞を受賞、作品賞など計6部門を制した。
2004年、バグダッドで爆弾の処理作業中、誤って中隊の処理兵が亡くなった。新たに配属されたジェームズ軍曹(ジェレミー・レナー)は作業のベテランだが、隊のルールをことごとく無視し、隊員の反発を買う。だが彼らは戦場での危険な任務を、力を合わせ切り抜けていこうとする。
常に死と隣り合わせの爆発物処理の過程がスリリングなアクション映画。一見アメリカの国威発揚の娯楽作のようだが、興味深い描写がある。
主人公が親しくなったサッカー好きの少年が死体で現れるシーン。主人公もそう思い込むが、のちに別人と判明する。他国に入り込み理解しているつもりでも実は何も分かっていないとアメリカの政策をむしろ批判しているのか。この映画の懐は想像以上に深いのかもしれない。(2010年4月15日・小野)