パレード
若手俳優5人 奇妙な群像劇
登場人物たちに流れる異常性にいったいどれだけの人々が気付くだろう。「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督が山本周五郎賞受賞の吉田修一の同名小説を映画化。一見、日常的に見える現代の奇妙な関係性を描く。
ルームシェアしている4人の若者。それぞれの生活を認め合い、うまく暮らしている。そこに突然入ってきた青年によって、4人の若者たちそれぞれが抱えていたものが現れてくる。
登場するのはどこにでもいそうな若者たち。恋して笑って泣いて腹を立て強くなろうと願う。そこに何の不思議も奇妙さも感じられない。しかし出来事によって引き起こされる感情からの気付きや学びが薄い。自分たちはネットのチャットや掲示板のようだ、というセリフがあるが、普通に見えていた彼らの異常性に気付いた時、そこには自分の姿も見えてくる。若手実力派俳優5人による群像劇。実はとても恐い作品だと言える。(2010年5月27日・手塚)