パリより愛をこめて

しゃれた恋愛ドラマを想像していると驚く。タイトルは「007ロシアより愛をこめて」をもじったものと察したほうが早いアクション映画。ジョナサン・リース・マイヤーズの役名が「ジェームズ」であることでもそれと分かる。

ジェームズはパリの米国大使館員だが、裏の顔はCIA職員。さえない地味な情報活動をしていたが、指令で本国からの同僚を出迎えに。税関で会ったその男チャーリー(ジョン・トラボルタ)はとんだトラブルメーカー。しかしすご腕の男だった。コンビを組まされた2人は、麻薬組織やテロリストに立ち向かっていく。

スキンヘッドでやぎひげ姿だが、こんなに格好いいトラボルタは最近覚えがない。95分というタイトな上映時間をノンストップで見せ切るピエール・モレル監督の演出も快調そのもの。「96時間」に続きモレル監督がまたもやってくれたと、快哉(かいさい)を叫びたくなる娯楽作である。(2010年6月10日・小野)