ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡
障害に負けないバンドの輝き
アフリカ・コンゴの首都キンシャサは戦争による混乱から貧困にあえぐ荒廃した町。飢えと犯罪があふれる世界で2人のフランス人映像作家(ルノー・バレとフローラン・ドラテュライ)が出会ったストリートバンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」。彼らの音楽に魅了され、5年をかけたアルバム製作の様子を描いたドキュメンタリー映画だ。
「ベンダ・ビリリ」とは「外側をはぎ取れ=内面を見よ」の意味。子どものころにポリオの予防接種を受けることができず、身体障害者となったメンバーたちは、住む家もなく路上で眠る生活。しかしその内面には底なしの明るさ、たくましさがあふれ、独特なリズムとなって輝きを放つ。体の不自由さを吹き飛ばすかのような魂の自由さを感じずにはいられない。
自分の境遇を恨めしく思う暇などない。与えられた人生を生き抜くしかないのだ。そんな力強いメッセージが込められた作品だ。(2010年11月25日・のだ)