ゴールデンスランバー
堺雅人が主演 無実の男の逃亡劇
伊坂幸太郎原作小説の映画化。監督の中村義洋は「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」で、俳優の堺雅人は「ラッシュライフ」で伊坂作品に挑んできた。二人がスクラムを組んだのが本作である。
舞台は伊坂作品の十八番、杜の都・仙台。首相が就任のパレード中、爆破暗殺された。現場近くにいた青柳(堺雅人)は友人から「オズワルドにされるぞ」と謎めいたことを言われる。直後、友人は爆死し、青柳は警官に包囲される。首相暗殺犯に仕立てられた彼は逃げ切れるのか。
独特の倫理観など気になる点はあるが、無実の男の逃亡劇としてすこぶる面白い。家族や友人の逃亡ほう助に人は一人では生きられないと実感させ、大学時代の学友との描写には青春映画の甘酸っぱさも。ビートルズの楽曲「ゴールデンスランバー」も効果的に用いられ、見る者も「たいへんよくできました」とはんこを押したくなる映画である。(2010年2月18日・小野)