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シネマ1987online

ノルウェイの森

村上春樹原作 60年代の青春

若者の成長の軌跡を深く描き、小説家村上春樹の名を世間に知らしめた原作を「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督が映画化。

ワタナベ(松山ケンイチ)は自殺した親友キズキ(高良健吾)の恋人で、心に傷を負った直子(菊池凛子)と青春の日々を送っている。1960年代後半、学生運動とは対照的に自分の内面を見詰め続けた彼はさまざまな若者たちの間で少しずつ大人になっていく。

原作と映画は別物と言うが、この物語を映像化するのは困難だったろう。原作ファンには不満が残るかもしれないが、あらかじめ物語を知り、自分なりの解釈を楽しむのも良いかも。雰囲気としては悪くない。

18歳から21歳といえば、初めてリアルに愛や生き方を問い、学ぶ時期。主人公の姿は人によっては優柔不断に映るだろう。しかし青春時代はそれが許される。いつか経験した感情が作品とともによみがえるかもしれない。(2011年1月6日・手塚)

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