漫才ギャング
笑い、涙、人情心温まる物語
お笑い芸人でもある品川ヒロシ監督の「ドロップ」に続く第2作。漫才ライブと迫力のあるけんかのシーンをテンポ良く交差させる冒頭で気持ちをつかまれる。
飛夫(佐藤隆太)は漫才で成功する夢を追い続けて10年。実力はありながら、うだつはあがらず借金まみれの現実だった。相方から漫才をやめると告げられ、自暴自棄になった飛夫は留置所で龍平(上地雄輔)と出会う。龍平の絶妙なツッコミには漫才のセンスがあった。コンビを組んだ二人は徐々に売れていくのだが…。
挫折を繰り返しながらも、夢をあきらめない若者の笑いと涙と人情に胸が熱くなる。役者も個性が際立つ。中でも宮川大輔や秋山竜次の鬼気迫る怪演ぶりは爆笑もの。巧みなボケとツッコミ満載で脚本も手がけた監督の漫才魂が光る。東日本大震災被災地での無料上映が検討されているという。パワフルで心温まる笑いが被災者の元気につながればと願う。(2011年4月7日・杉尾久)