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シネマ1987online

愛する人

女性から母へ静かな感動作

カレン(アネット・ベニング)は14歳で子どもを産み、養子に出していた。その子どもは有能な弁護士エリザベス(ナオミ・ワッツ)。生みの母を知らずに育った彼女は上司の子どもを宿したことで自分の母親に会いたいと思う。ロドリゴ・ガルシア監督作。

女性が「母」になるにはいくつかの心の軌跡がある。子どもを産んだから母になるのではなく、産まなくても強い母性を持っている女性は大勢いる。本作でも血のつながりはなくとも、子どもの存在こそが母性を導いてくれるきっかけだと描かれている。淡々とした物語の中で、女性はいくつになっても「母」になれるのだと教えてくれる。

タイトル「愛する人」とは、実は子どものことではないか。なぜなら子どもはおなかの中に生を受けたときから既に私たちに無償の愛をくれている。その愛を感じられたとき、女性はきっと母になる。ナオミ・ワッツの表情に深い思いを抱かせる静かな感動作。(2011年5月5日・手塚)

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