冷たい熱帯魚
実話ベースの猟奇殺人描く
1993年の埼玉愛犬家連続殺人事件をベースに恐ろしい猟奇殺人事件のてんまつを描く。監督は「愛のむきだし」の園子温。
小さな熱帯魚店を営む社本(吹越満)は娘がスーパーで万引したことをきっかけに大型熱帯魚店の経営者・村田(でんでん)と知り合う。気弱な社本は陽気で強引な村田のペースにのみ込まれ、もうけ話に乗ってしまう。村田は次第に本性を現し、欲望の闇に社本を引きずりこんでいく。
村田の人物像は斬新だが、あまりに恐ろしく身の毛がよだつ。自分の欲望のために腹をくくり、残虐な行為を平気でやってのける。その信念は圧倒的なパワーを持ち、力強い言葉は善悪など吹き飛ばしてしまう。無力な者はただ言いなりになるしかないのだ。
社本が村田に支配されていく様子は衝撃的だ。観客をも巻き込むそのパワーに支配されずに見ていられるだろうか。残虐描写などで成人映画指定されている。(2011年6月9日・のだ)