ツリー・オブ・ライフ
独自の視点で命を問いかけ
1950年代半ばの米テキサス州。3人の息子の父オブライエン(ブラッド・ピット)は息子たちを愛し期待するあまり、厳格に接することしかできない。優しい母(ジェシカ・チャスティン)はすべてを運命として受け入れ、オブライエンの言いなりだ。物語は成長した長男ジャック(ショーン・ペン)の脳裏に浮かんでは消える、家族と過ごした日々の記憶をたどって展開する。
人はみな運命に対して無力だ。愛する者の死を受け入れられず、神に「なぜ?」と問いかける。それでも悲しみを乗り越えて、死者の魂が安らかであることを祈る姿には、深い慈しみの心があふれている。それがちっぽけな私たちに与えられた強さに思えてならない。
今までにない視点から命や生きることについて問いかける興味深い作品だ。監督は「ニュー・ワールド」のテレンス・マリック。今年のカンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した。(2011年8月25日・のだ)