ロック　わんこの島

あきらめずに生きる姿に感動

犬・猫・子供・病人は映画の「禁じ手」。そう語ったのは北野武だが、「きな子」「わさお」など犬の出る映画が最近多い。そこへ本作で、またかと思いながら見たが、意外な拾い物だった。

三宅島で民宿を営む野山松男(佐藤隆太)一家の長男で小学生の芯(土師野隆之介)は愛犬ロックと楽しい日々を送っていた。2000年8月、島の雄山が大噴火を起こし、野山家は本土に避難を余儀なくされる。ロックは一時、島に取り残されるが、やがて本土の野山家とは違う場所に運ばれる。芯とロックは再び一緒に暮らせるのか。

離れ離れに慣れない暮らしを送らざるを得ない人と犬の苦難が同調していて胸をつく。いつ元の暮らしを取り戻せるのか分からないが、あきらめずにその日を信じて生きていく姿が感動を呼ぶ。

東日本大震災で被害を受けた方々への励ましになりそうな作品。私たちにも活力を与えてくれる映画だ。監督は中江功。(2011年9月1日・小野)