スマグラー おまえの未来を運べ
巧みな演出で楽しめる快作
「闇金ウシジマくん」で知られる真鍋昌平の同名コミックの映画化。「鮫肌男と桃尻女」の石井克人監督の新作である。
役者の道を挫折し、日銭稼ぎの貧しい日々を送るフリーター、砧涼介(妻夫木聡)。いつの間にか300万円の借金を抱え、返済のために裏稼業の運送屋(スマグラー)で働くことになる。その初仕事は死体運びだった。最初の仕事は何とかこなしたが、お人よしが原因で最悪の事態を引き起こしてしまう。
元が漫画でいろいろデフォルメされているとはいえ、これほど出てくる役者の個性が立った作品も珍しい。とにかく全員がいいが、あえて挙げれば運び屋のベテラン、ジョーに扮した宮崎出身の永瀬正敏。修羅場をくぐり抜けた強さをにじみ出している。よれたジャンパー姿がかっこいい。
宮崎県民必見(?)の映画。残酷な場面もあるが、俳優陣の好演と石井監督の巧みな演出で大いに楽しめる快作である。(2011年11月10日・小野)