ミックマック
個性的な俳優 笑い誘う復讐
「ロング・エンゲージメント」から5年。待ち遠しかった「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督作品である。
発砲事件で額に流れ弾を受けたバジル(ダニー・ブーン)。奇跡的に命は助かったが、頭に銃弾を残したまま生きていく羽目になる。ひょんな事から彼は30年前に父の命を奪った地雷と銃弾の製造会社を見つけ、7人の仲間の助けを借りて復讐を決行していく。
“ミックマック"とはフランス語でイタズラという意味。近代的な敵を相手に奇想天外なアナログ作戦が次々に功を奏していく。ジュネ作品には欠かせないドミニク・ピノンをはじめ個性的な俳優の好演が笑いを誘う。アーティスティックなパリの色彩と音楽、ジュネワールド独特の雰囲気があふれる。武器製造や地雷除去などの問題を反戦として声高に掲げるのではなく、コミカルに想像力をくすぐるところが、ジュネ監督らしい。ファンにはたまらない一作。堪能してほしい。(2011年2月10日・杉尾久)