ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
突然の父の死を克服する少年
米同時多発テロで父親を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)はその死を受け入れることができずにいた。ある日、遺品の中から一本の鍵を見つける。父親が自分に託したメッセージと思い、鍵に合う鍵穴を求めて小さな旅が始まる。人混みや橋、地下鉄など、一つ一つを克服していく旅は次第にオスカーの悲しみを浄化する。
同時テロは米国民の心に暗い影を落としたが、愛する者を突然失う悲しみは東日本大震災も同じだろう。どれだけ多くの人々がオスカーのようにつらい現実に向き合っているのか。それを思うと涙が止まらなかった。
父親役はトム・ハンクス、母親役はサンドラ・ブロック。監督は「リトル・ダンサー」「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリー。アスペルガー症候群を疑われる繊細なオスカーが父の死を乗り越え、少しずつ成長する様子をきめ細やかに描いている。(2012年3月8日・のだ)