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僕達急行 A列車で行こう

森田監督遺作 現代版寅さん

昨年12月急逝した「家族ゲーム」の森田芳光監督の遺作。主人公は今が旬の松山ケンイチと瑛太。二人は大手不動産会社のマイペース営業マンと鉄工所の跡取り息子なのだが、鉄道オタクという共通の趣味があり、列車で旅することになる。その旅先で同じ鉄道オタクにとって究極の模型マニアに会うというコメディーである。

常に時代の最先端を見つめ、豊かな発想で多くの映画ファンを驚かせ、楽しませてきた森田芳光監督、今回は女の子よりも趣味に走る男たちということで「間宮兄弟」とも違う現代版寅さん映画とも言える作品に仕上がっている。人生は楽しいものという監督のメッセージが伝わってくる。

脇を固める役者では社長役の松坂慶子が生き生きとしていていい。出演者の名前がすべて実在の特急の名称が当てられているらしく、名前にも注目したい。これが最後の森田ワールドと思うと寂しい。(2012年3月22日・杉尾隆)

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