キツツキと雨
きこりと監督 心温まる交流
「南極料理人」の沖田修一監督作品。山里に住む武骨なきこりと気の弱い新人映画監督の触れ合いを描いた心温まるコメディーだ。
2年前に妻を亡くした克彦(役所広司)は仕事もしない息子を憂いながら山仕事に精を出している。一方、ゾンビ映画の撮影で村に来た新人監督の幸一(小栗旬)は現場のプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。ある日、克彦はひょんなことから撮影隊に加わることになる。その時から年齢も境遇も違う2人の奇妙な関係が始まる。
素朴な男の実直さゆえのおかしさを演じさせたら役所広司の右に出る者はいないだろう。突然ゾンビメークを施され、ぶぜんと立ちすくむ姿や途方に暮れた表情は笑わずにはいられない。話全体がほっかりとした雰囲気を醸し出していて心地よい。2人を通して人生の厳しさと人の温かさもきっちりと見せる。絆が求められる今だからこそ、見て笑って感じてほしい。(2012年4月12日・杉尾久)