ジョン・カーター
脚本が上出来 宇宙の大活劇
エドガー・ライス・バローズの古典SF「火星のプリンセス」の映画化。アニメ「ファインディング・ニモ」の監督アンドリュー・スタントンが実写でもさえた腕前を見せている。
南北戦争後の1881年、軍人カーター(テイラー・キッチュ)は不思議な現象で惑星バルスーム(実は火星)に迷い込む。そこには緑色の肌に牙と4本の腕を持つどう猛な種族や未知の生物、地球人に似た美しい王女デジャー・ソリス(リン・コリンズ)がいた。重力の違いから驚くべき身体能力を得たカーターは惑星が壊滅の危機にあることを知り、大敵に立ち向かっていく。
「スター・ウォーズ」の原点と言いたい宇宙大活劇に大喝さい。原作者本人がからむ脚本の作りも上出来だ。原作ファンにはソリス姫など、武部本一郎の挿絵のイメージに近いのもうれしい。アメリカ本国での興行は苦戦だったらしいが、見逃すには惜しい娯楽映画の快作である。(2012年5月3日・小野)