貞子3D
立体映画でも恐怖はダウン
教え子が不審な死を遂げた原因を探ろうとした女子高の教師・鮎川茜(石原さとみ)は奇妙なうわさを耳にする。「自殺の様子を生中継する映像が動画サイトに投稿され、その動画を目にした者も死んでしまう」。やがて似たような変死事件が各地で続発する。
1998年公開の「リング」の第5作。このシリーズ、現代のテクノロジーの中に従来の幽霊映画の要素を取り入れて大ヒットした。多くのホラー映画は大音量の効果音やグロテスクなシーンで怖がらせるが、「リング」はしっかりしたストーリーと異様な雰囲気で観客を震え上がらせた。
今回の作品はどうか?日本的情緒は希釈され、西洋風のゾンビ映画により近づいた作品となっている。立体映画(3D)になって映像はパワーアップしたが、恐怖はパワーダウンした。映画にとって重要なのは音響効果でも、3Dでも、最新のSFXでもなく、シナリオであるということを痛感させられる。(2012年5月31日・酒井)