ヒミズ
心を揺さぶる若い2人の姿
人気漫画「行け!稲中卓球部」の古谷実がギャグを封印して若者の心の闇を描いた衝撃作「ヒミズ」を「冷たい熱帯魚」「恋の罪」の鬼才・園子温監督が実写映画化。
ごく普通に生きることを願う住田祐一(染谷将太)と、愛する人と守り守られ生きていくことを夢見る茶沢景子(二階堂ふみ)。中学3年生の2人の日常はある事件をきっかけに無情と絶望の非日常へと変わっていく。
スクリーンにあふれるさまざまなゆがみと圧倒的な閉塞感。そして、かすかに見えてくる希望の光。青春映画に閉塞感はつきものだが、今の世相を焼き付けた本作は紛れもなく“現在の"青春映画と言えるだろう。
倒れても立ち上がり、泣きながらも前へと走りだす。生きる力に激しく心が揺さぶられる問題作。第64回ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)をダブル受賞した染谷と二階堂の演技が胸を打つ。(2012年7月5日・河野)