ダークナイト ライジング
3部作完結編 舌を巻く傑作
クリストファー・ノーラン監督版「バットマン」3部作の完結編。クリスチャン・ベールが三たび主演を務めている。
物理学の権威が乗った飛行機がハイジャックされる事件が発生。時をおいて、バットマンことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の邸宅に女怪盗セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)が侵入、ウェインの指紋を盗み出す。二つの事件には凶悪なベイン(トム・ハーディ)が関与していた。ベインの真の目的は何か。そしてバットマンは悪だくみを阻止し、強敵ベインを倒すことができるのか。
冒頭のハイジャックの場面から、先の展開を読ませない。ノーラン自身による脚本がさすがで、ハサウェイが脚本をしまうための金庫を買ったといううわさもうなずける。ゴッサム・シティという都市と人間の心の「闇」を描き出すダークな映像美術にも舌を巻くばかりだ。165分を全く見飽きさせない大傑作だ。(2012年8月16日・小野)