恋の罪
人の本質迫る残酷な意欲作
怪作「冷たい熱帯魚」の園子温監督作品。欲望と解放の底へと落ちていく狂気を女の「性」で表現していく。
渋谷区円山町のラブホテル街で起こった猟奇殺人事件を追う女性刑事(水野美紀)と捜査線上に浮かぶ2人の女性(神楽坂恵、富樫真)。3人の女たちには聖女と娼婦(しょうふ)性の二つの顔を持つという共通点があった。刑事は捜査が進むにつれ、性の深えんをのぞき、会ったことのない彼女たちにあこがれにも似た共感を抱く。
3人の女優たちは一糸まとわぬ姿で狂ったように笑い、泣き、叫ぶ。汚れるほどに魅力的になっていく神楽坂恵が、にっかつロマンポルノ時代の宮下順子を思わせる。
R18(18歳未満鑑賞不可)指定されており、女性にとっては不条理で目を覆いたくなる性描写もあるため、見る人を選ぶ作品だと思う。ただし、人間の本質に迫る「残酷な大人のエンターテインメント」として意欲作であることは確か。(2012年1月26日・手塚)