天地明察
冲方丁の原作を納得の映画化
今年は「日食」の天体ショーが話題となったが、この作品のクライマックスも「日食」のシーンだ。冲方丁原作の映画化で、日本初の暦「貞享暦」を作った安井算哲(後の渋川春海)のドラマである。
将軍家へ碁を指南する家に生まれた安井算哲(岡田准一)は将軍家綱の前で碁の真剣勝負を行い、周囲を驚かせる。将軍の後見人の保科正之(松本幸四郎)に目をかけられた算哲はその命により全国の北極星を観測する旅に出る。帰着後、今度は新しい暦を作るよう命じられるが、暦はみかどがつかさどる聖域だった。算哲は「暦」で命がけの真剣勝負を挑む。
算術と星を眺めるのが大好きな主人公を岡田が爽やかに好演。「おくりびと」の滝田洋二郎監督の演出も巧みで「日食」が出るかどうかのシーンはドキドキ。原作ファンも納得の夢とロマンあふれるすてきな映画になった。レイトショーで見たら、星空を見上げたくなる作品である。(2012年10月11日・小野)