アウトレイジ ビヨンド
先読ませない話術の巧みさ
「HANA-BI」(1998年)がベネチア映画祭金獅子賞を受賞するなど国際的にも評価が高い北野武監督の新作。「アウトレイジ」(2010年)の続編である。
激しい抗争から5年。先代の後、会長になった加藤(三浦友和)の下、関東の暴力団「山王会」は政治の世界まで手を伸ばしていた。この急伸に業を煮やす警察の片岡(小日向文世)は壊滅のために関西の雄「花菱会」との抗争を仕掛ける。そして思いがけず生きていた大友(ビートたけし)をも巻き込んでいく。
また暴力かとの思いは作品の面白さにたちまち雲散霧消する。片岡の取る手は黒澤明の「用心棒」に似ているが、先を読ませない。その巧みな話術はさすがだ。頂点にいた人物が次の場面では奈落に落ちている展開などぞくぞくする。
監督、出演、脚本に編集までこなす北野武はやはり天才だ。その才腕を心ゆくまで味わえる傑作である。(2012年10月25日・小野)