ツナグ
死者との再会かなえる案内人
亡くなった人にもう一度会いたいと思っている人は数多くいる。この作品は一度だけ死者との再会をかなえてくれる案内人ツナグのすてきなストーリーである。
高校生の歩美(松坂桃李)はツナグの見習いをしている。彼はがんで亡くなった母(八千草薫)と会いたい中年男(遠藤憲一)、事故死した親友(大野いと)との再会を望む女子高生(橋本愛)、7年前に失踪した恋人(桐谷美玲)を捜すサラリーマン(佐藤隆太)の願いをかなえていく。
第32回吉川英治文学新人賞に輝く辻村深月の小説の映画化。主演は「王様とボク」の松坂桃李、その祖母を「わが母の記」の樹木希林。このほか八千草薫、仲代達矢など芸達者な共演陣が作品をもり立てている。
死者との再会というとオカルトじみているが、懐かしさとロマンチックな演出で人間の絆の大切さに気づかせてくれる美しい映画である。監督は「ROOKIES 卒業」の平川雄一朗。(2012年11月8日・酒井)