はやぶさ 遙かなる帰還
壮大な難事業に挑む人々
古くは「自由学校」、下って千利休、宮澤賢治と各社競作になる映画がある。地球から遠く離れた小惑星から世界で初めてサンプルを持ち帰った探査機「はやぶさ」も昨年の「はやぶさ HAYABUSA」に続く2作目が登場した。監督は瀧本智行。
2003年、小惑星イトカワへ「はやぶさ」は旅に出る。行く手には多くの困難が待ち受けていた。燃料漏れに姿勢制御不能、行方不明―。だが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山口(渡辺謙)はあきらめずにチームを指揮し、探査機帰還に全力を尽くす。
科学的説明の詳しさでは昨年の堤幸彦作品に一歩譲るが、7年がかりの「はやぶさ」の旅はやはりドラマチック。JAXAの資金難も冒頭の床のテープ張りや破れたいすの描写でよく分かる。
壮大な難事業には夢と経験・技術の継承が大事だ。その思いも伝わってくる一作である。(2012年2月16日・小野)