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シネマ1987online

遺体 明日への十日間

震災犠牲者の尊厳守る人々

東日本を襲った大地震と津波で、釜石市も甚大な被害が発生し、廃校となっていた中学校の体育館が犠牲者の遺体安置所となる。次々と運ばれる遺体を見て、かつて葬儀関係の仕事に就いていた相葉常夫(西田敏行)はボランティアとして働くことを申し入れる。相葉は運ばれてくる遺体に優しく話し掛け、犠牲者の尊厳を守る。その姿は作業する市職員に波及し、多くの遺族の心のよりどころとなった。

釜石市の遺体安置所を題材にしたルポルタージュ「遺体 震災、津波の果てに」の映画化。監督は「誰も守ってくれない」などの君塚良一。西田敏行のほか、佐藤浩市、緒形直人、志田未来、筒井道隆などの俳優たちが顔をそろえている。

遺族の心情を配慮し、出演をためらった西田敏行は「劇化することで事実とは違う真実が引き出せるのではないか」と考えて出演を決めたという。劇場に出向いてそれを確かめてほしい。(2013年4月25日・酒井)

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