カルテット！人生のオペラハウス

心を引かれる音楽の美しさ

名優ダスティン・ホフマンが原作にほれ込み、初めて監督した作品。

英国の美しい田園風景の中に建つ「ビーチャム・ハウス」は引退した音楽家たちが入居している老人ホーム。ここで余生を送るレジー（トム・コートネイ）、シシー（ポーリーン・コリンズ）、ウィルフ（ビリー・コノリー）たちのもとに元プリマドンナのジーン（マギー・スミス）が入居してくる。ジーンは大スターだったが、仲間たちを裏切り、傷つけた過去があった。

入居者たちは経営難のハウスの存続を懸けてコンサートの準備に追われていた。ジーンにカルテット（四重奏）を組んで、コンサートで歌うことを希望するが、彼女は過去の栄光に縛られ、歌うことを恐れていた。

脚本の確かさ、演出の安定性、出演陣の演技の見事さなど、どこを取っても一流だ。しかし、それ以上に劇中で流れるクラシック音楽の美しさには心を引かれた。（2013年7月4日・酒井）