ハッシュパピー バスタブ島の少女
主演の少女に圧倒的存在感
長々と伸びる堤防によって世界から切り離された小さなコミュニティー「バスタブ」で、6歳の少女ハッシュパピー(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は飲んだくれの父親ウィンク(ドワイト・ヘンリー)と暮らしている。バスタブの仲間たちと生き生きとした毎日を送っていたが、ある晩、嵐がすべてを奪い去る。さらにウィンクが重病で倒れてしまう。
ハリケーン「カトリーナ」による水害を踏まえて無名監督ベン・ザイトリンがわずか200万ドル(約1億6千万円)で製作。サンダンス映画祭でグランプリ、カンヌ映画祭で4部門受賞、アカデミー賞で主演女優など4部門の候補となった。
映画は少女の目を通して、現実の厳しさと再生への道のりを詩的で情感に満ちたファンタジックな映像によって見事に描き出している。特に少女を演じたウォレスの演技は圧倒的な存在感を示し、感動と共感を与えている。(2013年8月1日・酒井)