地獄でなぜ悪い
監督の個性全開 小気味よい快作
暴力団組長の武藤(國村隼)は獄中にいる最愛の妻しずえの夢である「娘の映画デビュー」を実現させようと努力していた。ところが、肝心の娘ミツコ(二階堂ふみ)は男と逃亡してしまった。武藤は状況を打開すべく自らプロデューサーとなってミツコ主演作の製作に乗り出す。駆け落ち相手に間違えられた公次(星野源)や自主映画集団を率いる平田(長谷川博己)たちを巻き込み、本物のやくざの抗争を舞台にした前代未聞の映画の撮影を開始する。
「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」など独特の個性で話題作を提供してきた園子温監督の最新作。前作「希望の国」は消化不良の感があったが、この作品は園子温ワールド全開で、小気味よい快作に仕上がった。
血が噴き出す過激なシーンが多く、すべての人には向かないかもしれない。しかし俳優陣やスタッフが一丸となって映画作りを楽しんでいるようで映画への愛がひしひしと伝わってくる。(2013年10月17日・酒井)