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シネマ1987online

孤独な天使たち

ベルトルッチ 10年ぶり監督

「ラスト・タンゴ・イン・パリ」「ラストエンペラー」の巨匠ベルナルド・ベルトルッチの新作。大病後、10年ぶりの監督作品である。

1人を好む14歳のロレンツォ(ヤコポ・オルモ・アンティノーリ)。学校と母親から問題児扱いされている彼はスキー合宿に参加するとうそをつき、地下室にこもって1週間を過ごす秘密の計画を実行に移す。初日は好きな本や音楽や静けさに浸っていたが、翌日、異母姉のオリヴィア(テア・ファルコ)が転がり込んでくる。共同生活をすることになり、ロレンツォの心が揺らぎ始める。

ニッコロ・アンマニーティの同名小説の映画化で、空間がほぼ地下室1室のみに限定される舞台劇調の作品。だが、見事に「映画」として昇華されている。

少年と姉の孤独感や悩み、そして夢がひしひしと伝わり、ベルトルッチの才能の非凡さにあらためて敬服させられる。小粒だが、まさに珠玉の1作である。(2013年7月11日・小野)

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