清須会議

史実基に描く傑作歴史喜劇

天正10（1582）年、本能寺の変で織田信長が亡くなった後、織田家の後継者を決める会議が織田家に縁のある清須で行われた。その史実を基に、希代のコメディー作家で歴史好きな三谷幸喜が監督した歴史喜劇の傑作である。

会議に出席したのは筆頭家老の柴田勝家（役所広司）と勝家の盟友、丹羽長秀（小日向文世）、信長の乳兄弟・池田恒興（佐藤浩市）、そして羽柴秀吉（大泉洋）の４人。それぞれがさまざまな駆け引きの中でだましだまされ、取り巻く人々の思惑も複雑に絡み合っていく。

歴史に名を残す戦国時代の武将たちが人間臭く描かれ、清須会議という史実の裏で行われた心理戦を面白おかしく展開する。後継者候補の信孝（板東巳之助）と信雄（妻夫木聡）や信長の妹・お市様（鈴木京香）が、微妙に絡んでなだれ込むラストにはうならされた。大泉洋の主演男優賞ものの演技も見応えがある。（2013年12月5日・笹原）