くちづけ
障がい持つ娘 父親の強い愛
知的障がい者のグループホーム「ひまわり荘」では家族、医師、サポートする人たちも一緒に生活している。そこで暮らしていたマコ(貫地谷しほり)が死んだ。そこには一人娘の行く末を思う父親(竹中直人)の強い愛が隠されていた。
劇団「東京セレソンデラックス」の宅間孝行が実話をもとに作った舞台を「BECK」の堤幸彦監督が映画化。障がいを受け入れる家族と仲間の姿を笑いと涙で真摯に描く。
親は子どもの幸せを、子より先に旅立つ日を思い、自分がいなくても豊かな人生を歩んでほしいと願う。子は親の思いに見守られながら自らの足で立とうとするが、時にそれがかなわぬこともある。かけがえのない人たちが集まるこの家でのエピソードはおかしく、胸を締め付けられるほど悲しい。それは私たちの日常を振り返らせる。そして大切な誰かの穏やかな未来を願う幸福があることをそっと気づかせてくれる。(2013年5月23日・手塚)