ばしゃ馬さんとビッグマウス
優しい視線が柔らかさ生む
34歳になる馬淵みち代は脚本家を夢見て馬車馬のように頑張っているが、シナリオコンクールで落選が続いていた。彼女と同じシナリオスクールに通う28歳の自称天才脚本家・天童義美は作品を書いたことがないのに、他人のシナリオを酷評し続けていた。対照的な2人だが、天童はみち代に一目ぼれ。みち代に認めてもらうためにシナリオを書き始める。
夢を捨てきれないみち代を「船を編む」「宇宙兄弟」の麻生久美子がコミカルに熱く、そしてしなやかに演じる。相手役は関ジャニ∞の安田章大で真面目にゆるく、切なく、人間くさく演じている。監督は「純喫茶磯辺」「さんかく」などを手がけた吉田恵輔。
2人を見守る優しい視線が柔らかい雰囲気を醸し出している。夢をかなえるのは難しく、夢をあきらめるのも難しいが、それでもいつかは決着をつけなければならない。ほろ苦い青春映画である。(2013年11月14日・酒井)