イヴ・サンローラン
50年代のパリ危うさ漂う恋
1950年代のパリ。華やかなファッション界の寵児(ちょうじ)イヴ・サンローランは21歳の若さでディオールブランドを引き継ぐことになる。しかしあふれるイヴの才能は彼に重圧を与え、徐々に彼の精神をむしばんで行く。
天才イヴ・サンローランを演じるのは美しく繊細できゃしゃなフランス映画界の新星ピエール・ニネ。ディオールを離れイヴ・サンローランブランドを立ち上げて、生涯彼の仕事を支え続けた恋人ピエールにギョーム・ガリエンヌ。セーヌ川河畔を歩くスーツ姿の2人の男の色気はさすがフランス映画である。
当時の本物のドレスを使用したといわれるファッションショーの華やかさやモデルの美しさにも目を奪われるが、それ以上にこれは男同士故の恋の危うさが全編に漂い、ゾクゾクとさせられる恋愛映画なのだと思う。監督は俳優でもあるジャリル・レスペール。なかなかの見事な演出である。(2014年10月30日・林田)