オー！ファーザー

原作は「重力ピエロ」「ゴールデンスランバー」で人気の伊坂幸太郎の小説。高校生の由紀夫（岡田将生）には訳あって４人の父親がいる。大学教授、ギャンブラー、体育教師、元ホストという個性的な４人。由紀夫は煩わしく思いながらも彼らの教えを守り、文武両道を極め、物事を達観視するクールで情に厚い高校生に育った。

そんな奇妙な環境の中、穏やかに暮らす由紀夫の周りで不可解な事件が次々に起きる。すべての事件に関連があることに気づいた由紀夫は何者かに監禁されてしまう。

映画は張り巡らせた伏線を予想外の角度から回収していく。息子を助けるために団結する父親たち。人間関係や複雑な感情が入り乱れるはずの部分を潔く切り落とし、現実にはありそうもない関係をあっけらかんと描いて、サスペンスコメディーに仕上げている。

同級生役に忽那汐里、遊技場の元締めを柄本明が演じる。監督は新人の藤井道人。（2014年5月29日・杉尾久）