ゼロ・グラビティ
地球への帰還 全編に緊張感
地上600キロの宇宙空間。スペースシャトルのストーン博士(サンドラ・ブロック)とコワルスキー(ジョージ・クルーニー)は船外作業中に、破壊された人工衛星の破片の襲来に遭う。シャトルは壊滅し、ストーンは無重力(ゼロ・グラビティ)の宇宙空間へ放り出される。地球との交信手段は断たれ、頼りのコワルスキーも宇宙のかなたへ消えた。地球へ帰るため彼女は国際宇宙ステーションを目指すが、再び破片の嵐に見舞われる。果たして無事に地球へ帰還できるのか。
登場人物は2人だけで、舞台は宇宙空間に限定。ドラマに「枷」を設け、見る者を音も空気も上下もないその場に引きずり込む。91分という上映時間も緊張感を最後まで途切らせない。
大宇宙と、ちっぽけだが偉大な存在である人間との対照も際立つ。監督は「天国の口、終りの楽園。」のアルフォンソ・キュアロン。タイトで進取の精神に富んだ傑作だ。(2014年1月9日・小野)