ノア 約束の舟
大迫力の洪水 ドラマに怖さ
旧約聖書の「創世紀」にあるノアの箱舟伝説を映画化した大作である。
ある夜ノア(ラッセル・クロウ)は夢を見て、悪のはびこる地上に大洪水が起きてすべてを押し流し、新たな世界を創るという神の啓示を得る。その洪水の日に備え、家族と動物たちを守るための箱舟を造り始めるノア。つがいで動物たちを乗船させ終えたころ、ノアの父親を殺したトバル(レイ・ウィンストン)一味が箱舟に襲来する。一味との戦いの最中に大洪水が発生し、ノアとその家族、動物たちを乗せた箱舟が流されていく。ノアたちの運命はどうなるのか。
最新のVFXによる洪水シーンが大迫力。ドラマがただの偉人伝になっていないのもすごい。ノアが神との約束を果たすために狂気めいてくる後半はサイコサスペンスの恐ろしさだ。「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督が題材にのまれず個性を十分に発揮した力作である。(2014年10月16日・小野)