フューリー
凄惨で非道な戦場描く傑作
フューリーは「激怒」の意味だが、ここでは戦車の愛称も指す。第二次大戦下、米軍戦車シャーマンに乗る兵士5人のドラマである。
1945年4月、ドン・コリアー(ブラッド・ピット)を車長とする戦車「フューリー」に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が配属される。ノーマンは進軍の中で戦場の凄惨(せいさん)な現実を目の当たりにする。独軍の奇襲や最強の戦車ティーガーを撃退するが、その先には精鋭部隊数百人との激戦が待ち受けていた。兵士5人の命はどうなるのか。
ティーガーとの対戦を始め戦闘シーンの迫力がすごい。上官に戦場で生き残る術をたたき込まれる新兵の成長物語としても見応えがある。監督は海軍出身のデヴィッド・エアー。製作を兼ねたブラッド・ピットが、過酷な命令を下す半面、聖書に精通する信心深い車長を好演している。戦争がいかに非道なものかを思い知らされる戦争映画の傑作だ。(2014年12月18日・小野)