ブルージャスミン
みずみずしいアレンの感性
本名はジャネットだが、セレブらしく豪華なジャスミンと名前を変えた彼女は、マンハッタンに暮らす容姿端麗な成り金夫人。詐欺まがいの行為で夫のハル(アレック・ボールドウィン)が逮捕されたため、贅の限りの甘い生活から突如一文無しになってしまった。
それでも彼女はいつかセレブに戻りたいとの夢を捨ててはいない。それが痛々しくもあり、滑稽でもある。見えを張り、うそをつき、わがままも言う。しかしどこか不器用でかわい気のあるジャスミン。公園のベンチで独り物思いにふけるラストは切ない。彼女のこれからはどうなるのだろうか。それは観客の想像に委ねられて終わる。
ジャスミンを演じるケイト・ブランシェットは今年のアカデミー賞で主演女優賞に輝いた。監督は数々の名作を生んできたウディ・アレン。78歳にして、いまだみずみずしい彼の感性がこの作品を上質なコメディーに仕上げている。(2014年6月26日・林田)