ラッシュ プライドと友情
レースに臨場感 ドラマ描ききる
レーサーを描いた映画は「栄光のル・マン」や「レーサー」などがあるが、今回、素晴らしい傑作が誕生した。
ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)はマシンの設定からレース運びまでを緻密に計算する頭脳派。一方、ジェームズ・ハント(クリス・ヘムズワース)はワイルドで天才肌、酒と女を愛する享楽主義のレーサーだ。1976年、F1世界選手権2連覇を目指すラウダは勝利を重ね、チャンピオンが確実視されていたが、第10戦ドイツGPで事故に遭い、大けがを負う。しかし、わずか6週間でレースに復帰、富士スピードウェーで最後のレースに挑む。
実話の映画化。ラウダとハントの激烈な死闘を「ビューティフル・マインド」でアカデミー賞を受賞したロン・ハワード監督が深みのある演出で描く。臨場感あふれるレースシーンもさることながら、2人のドラマを描ききり、完成度の高い作品となった。(2014年3月6日・酒井)