リスボンに誘われて

平凡な人生が思わぬ方向へ

スイスで高校教師をしている初老の男ライムントは、出勤途中の雨の日に橋から飛び降りようとしていた若い女性を助ける。女性を教室に連れて行くが、彼女はコートを置いたまま姿を消した。ポケットから出て来た１冊の古い本とリスボン行きの切符を手にした彼は、本の著者に会いたい衝動にかられ、そのままリスボン行きの夜行列車に飛び乗ってしまう。

平凡だった高校教師の人生は思いも寄らぬ方向へと向かい始める。今から40年程前のポルトガルでいったい何が起こったのか。好奇心のとりことなったライムントには「運命の逆転」でアカデミー主演男優賞を受賞したジェレミー・アイアンズ。これ以上のキャストはないほどのはまり役だ。シャーロット・ランプリングもいい。

監督は「ペレ」でカンヌ映画祭パルム・ドールに輝いたデンマークのビレ・アウグスト。情緒豊かで美しいリスボンの街を走る路面電車も一役買っている。（2014年11月20日・林田）