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シネマ1987online

ぼくたちの家族

ダメ男たちの奔走に胸熱く

昨年公開の「舟を編む」が日本アカデミー賞6部門を制するなど映画賞を総なめにした石井裕也監督の最新作である。

郊外の一戸建てに住む玲子(原田美枝子)はある日突然、脳腫瘍で余命7日間と告げられる。ショックを受けた夫の克明(長塚京三)と、結婚して独立している長男の浩介(妻夫木聡)は、大学生で一人暮らしをしている次男の俊平(池松壮亮)共々、ばらばらに生きていたが、玲子を救うために一致団結していく。

借金まみれの夫と、思い詰める長男、親のすねかじりで冷めたことばかり言う次男らダメ男たちが奔走する姿に胸が熱くなる。次男が母の命を救いたい一心で黄色と8の数字の験担ぎをするあたりも泣かされる。

家族とは自ら選択できない「業」のようなもの。製作当時29歳でそんな家族をしっかり見つめた映画を撮り上げた石井監督の才腕に拍手したい。俳優陣4人の演技のアンサンブルも見事な秀作である。(2014年9月4日・小野)

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