寄生獣
脳を乗っ取り、人間襲う生物
「永遠の0」のヒットメーカー、山崎貴監督の最新作。岩明均の人気コミックの映画化である。
ある夜、パラサイトという小さな寄生生物が漂着する。その生物は人間の脳を乗っ取って肉体を操り、他の人間を捕食し始める。高校生の泉新一(染谷将太)も襲われるが、パラサイトは脳の占領に失敗、右手に寄生し「ミギー」と名乗る。新一とミギー(阿部サダヲ)が奇妙な共生生活を送るうち、パラサイトは母の信子(余喜美子)にも寄生し、同級生の里美(橋本愛)にも魔の手を伸ばす。新一は里美たちを救えるのか。
新一とミギーの関係がユニーク。悪魔を本で調べたミギーが「一番それに近い生物はやはり人間だと思うぞ」と話す場面は皮肉だ。信子や教師の田宮(深津絵里)が、人智ならぬ寄生獣智を超えた母性愛を示す一幕もいい。得意のVFXとドラマを融合させる山崎監督の演出には安定感が出てきた。来春公開の完結編が待ち遠しい。(2014年12月11日・小野)