思い出のマーニー
後半に急展開 感動のラスト
1作目の「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)が好評だったため、それを上回る作品を期待されていた米林宏昌監督。その重圧をものともせず、ジブリファンの期待に応えてくれた。
イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学が原作。映画は舞台を日本に置き換えてある。物心もつかない幼い頃に両親を亡くし、育ての親ともしっくりいっていない12歳の繊細な少女杏奈は、ぜんそく療養のため札幌から田舎の親戚の家に預けられ、夏休みを過ごすことになる。ある日、杏奈は入り江の向こう岸に建つ古い屋敷から現れた不思議な金髪の少女マーニーと出会う。なぜか懐かしさを覚え、2人は秘密の友だちとなる。
後半急に物語の展開が速くなり、ファンタジーとミステリーの要素が絡み合う。2人の関係が解き明かされるラストは驚きと喜びで胸が熱くなる。引退した宮崎駿監督の後を引き継ぐに十分な傑作である。(2014年7月31日・林田)