東京難民
格差社会批判 若者にエール
親からの仕送りで一人暮らしをしている大学生の時枝修(中村蒼)は学費が未納で除籍になっていることを大学側から告げられる。実家の両親は失踪していた。いきなり生活費に困窮することになった修はネットカフェ難民となるが、思わぬ成り行きでホストクラブで働き始める。だが修は一見華やかなその場所から、さらなる転落の道をたどっていく。
「ツレがうつになりまして。」の佐々部清監督の意欲作。ネットカフェ難民や日雇いの過酷な労働、華やかに見えるホストの実態に迫り、拝金主義の格差社会をリアルに描き出している。
修は店で一番のホストとなるため看護師の茜(大塚千弘)から金を都合してもらっていたが、ホストを辞めた後、風俗店で働く茜と再会する。そこでの「シャンパン・コール」の場面がいい。一度落ちたら、はい上がるのが難しい格差社会を批判し、生きようともがく若者たちにエールを送る秀作である。(2014年7月10日・小野)