オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
現代の吸血鬼 エレガントに
最近は岩井俊二監督が「ヴァンパイア」を撮るなど俊英監督による吸血鬼映画が目立つ。今度は「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のジム・ジャームッシュ監督がつくり上げた。
デトロイトのアパートで暮らすアダム(トム・ヒドルストン)は長く生き続けている吸血鬼。人を襲うのを自らに禁じ、地下のミュージシャンとしてカリスマ的人気を誇っている。そんな彼のもとに永遠の恋人イヴ(ティルダ・スウィントン)がモロッコからやって来る。穏やかに愛し合う2人だが、イヴの妹エヴァが訪れ、人の生き血を吸ってしまう。アダムとイヴの生が揺らぎ始める。
退廃的で優雅に暮らす吸血鬼カップルが魅力的だ。人間を「ゾンビ」と呼ぶところもユニークで、こんなおしゃれな吸血鬼映画は見たことがない。デトロイトとタンジールのロケも最高。吸血鬼の生命のように長く記憶に残るエレガントな「愛」の名作だ。(2014年3月27日・小野)