セッション

現代のニューヨーク。一流のジャズドラマーを目指し有名音楽大学に入学したニーマン（マイルズ・テラー）は、優れた教師との評判が高いフレッチャー（Ｊ・Ｋ・シモンズ）から彼のバンドに誘われる。フレッチャーの指導を受け、その異常性、凶暴性に驚くが、彼の「音楽の王国」にはまり身も心も壊れていく。

原題は「Whiplash（むち打ち）」。プロ、アマ問わず多くの演奏者が自らの力を磨こうと、日々汗を流している。指導者と奏者には時に主従関係が発生するが、良い演奏を行うことにおいて同等である。一流の音楽人ならば舞台が何人もの手を経て作り上げられる総合芸術であることを知っている。

監督のデイミアン・チャゼルは「音楽」や「舞台」をテーマとせず、幼稚な指導者と学生、２人の姿を描き、「人間的成熟とは？」と、私たちに問いかけているのではないだろうか。助演男優賞などアカデミー賞３部門を受賞した。（2015年7月30日・手塚）